改正貸金業法の中身

歴史の転換期になる改正貸金業法は2006年12月13日に国会を通過、12月20日に公布されました。
この法律は公布されてから1ヵ月後、1年、1年半、2年半以内と段階的に施行されるルールがあります。ここでは主な3つの改正ポイントを解説していきたいと思います。

主な改正ポイント

まず第一は参入規制の強化です。これが施行されて1年半以内に会社の純資産が2000万円に達していなければなりません。さらに2年半以内に純資産が5000万円に達していなければ、登録を取り消されるようになります。これは明らかに登録件数を減らす事を目的にしているルールといえます。現行では個人では300万、法人では500万円の資産があれば登録申請できますので、改正後のルールでは非常に高い壁ができてしまいました。
さらに規約違反を犯した業者には登録取り消しや業務停止に加えて、新たに業務改善命令を導入します。

第二は過剰な貸付の防止です。個人信用情報機関を指定して、総借入残高情報等を把握できるようになります。
また、信用情報機関の使用を義務化して、申し込みをした人に対しての返済能力の調査が義務付けられます。さらに借り入れが50万円を超える場合や、他社も含めた総借入残高が100万円を超える場合は、源泉徴収などの年収が分かる資料を取得しなければならなくなります。総借入残高が年収の3分の1を超えそうな場合も貸付を原則禁止になります。

第三は金利の引き下げ(グレーゾーンの廃止)です。利息制限法の上限と出資法の上限の間の金利の事をいいます。
今回の改正で完全施行後、出資法の上限を、利息制限法の20%に引き下げる事になります。

※2010年6月18日に完全施行により、出資法の上限は20%、利息制限法の上限は貸付金額に応じ15〜20%となります。
貸金業者は出資法と利息制限法の上限間の金利で貸し付けた場合も行政処分の対象になります。


改正貸金業法が与える影響

今回の改正について専門家や有識者の中には、この法律がかえって逆影響をもたらしてしまうのではないかという意見も多数あります。
慶応大学の小林節教授は6月の「産経新聞」のインタビュー記事の中で、「この法律では合法な金融会社から借り入れができなくなった人がヤミ金を頼ってかえってヤミ金を助長する可能性がある」とおっしゃっていました。
さらに東京情報大学の堂下浩助教授は大手消費者金融7社のアンケート調査結果を元にして、この改正が与える市場への影響について以下の様な影響が推測されると発表しています。(図表7)
その1:信用供与額が8兆円程収縮する
その2:貸し渋り等の利用者被害が約870万人になる
その3:被害者の救済措置に掛かる費用が約8兆円必要になる

※マメ知識 〜なぜ利息制限法と出資法の2つがあるのか〜

皆さんは、なぜ金利の規制を書いたルールが利息制限法と出資法と2つあるのか疑問に思った事はありませんか?
そもそもこの2つの法律は作った目的がまったく違ったのです。 1877年に制定された利息制限法は、「民法における特別規定」の位置づけにあります。なんだか難しそうな言葉ですが、要するに債権者と債務者の間で裁判になった時に、債権者の立場からは「この利息までなら請求できる金利」という意味になり、債務者の立場では「この基準を超える金利は払わなくても良い」 という判断基準になるのです。 民事裁判で両者に妥当な利益になるような数値基準にしたのが利息制限法という事です。

その一方で出資法というのは、1954年に制定され、刑事罰を組み込んだ法律になっています。これは1950年代以降ヤミ金問題が社会問題になり、刑罰によって金利を規制する必要性が出てきた為に制定されたのです。
つまり、利息制限法は訴訟の為の法律で、出資法は処罰を対象としたものなのです。
今回の改正でも例えば、「無登録営業の罰則を五年以下の懲役叉は一千万以下の罰金から、十年以下の懲役または三千万以下の罰金に引き上げる事」や、「年109.5%を超える利息契約をした場合、その業者を十年以下の懲役もしくは三千万以下の罰金を両方科す」と厳罰化されています。